一人旅 ~3日目②~ | パリジェンヌに憧れてンヌ!

一人旅 ~3日目②~

鳥取から離れる事を決めた僕。

鳥取からの脱出方法は勿論、ヒッチハイク。


親指を立てる。

  ↓

車止まる。

  ↓

鳥取脱出!


という見事なプランをたった数秒ではじき出した僕のスーパーコンピューター。

とりあえずヒッチハイクポイントに移動することにしました。

目的地なんかなかったけど、とにかく西に行こう。

それだけを胸に秘めて。


鳥取砂丘の近くにはちょうど海岸沿いに道があったので、

どこに向かうか分からないけど道なりに進みました。

車自体があまり通らないので、とりあえず歩いて適当に進みつつ

車が来たら親指を立てるのが良いと判断したからです。


真っ暗闇の海岸沿いを歩く。

たまに後方から車が来るのを確認したら満面の笑みで親指を立たせる。


これの繰り返しですよ、最初は。


たぶん、まだヒッチハイクに対する恥ずかしさみたいなのがあったと思うんです。

「今時ヒッチハイク?

 こいつ猿岩石のファンだぜ!」

って思われるのが恥ずかしくて。


でも徐々に僕の親指は調子が出てきたのか、見事な立ちっぷりでした。

そんな感じで海岸沿いを歩く事20分くらい。


蜜に群がる蝶の如く、僕の親指に誘われて1台の車が停車してくれました。

テレビなんかではヒッチハイクって何時間やってもつかまらないイメージなので

たった20分くらいで車が止まったので、

「やった!ヒッチハイクなんてちょろいぜ!!」


と思ったのも束の間。

近づいてみたらその神々しき姿の車は見間違ごうことなくパトカーなんですよ!

初めてヒッチハイクして、初めて捕まえた車がパトカー。

で、窓が開いておまわりさんが言うんです。


「君こんなところで何してるの?」


職務質問って奴ですか…?

僕は事情を説明しました。


ただ、西に行きたいってことを。

お金がないってことを。

ヒッチハイクしてるだけだって言うことを。


そしたらおまわりさんが言うんです。


「西そっちじゃないよ。

 そっちは東。」


…。

うっ…。


「どっちにしろこんなところじゃ車なんて捕まらないでしょ。

 もっと車が捕まりやすい国道まで乗せてってあげるよ!」


!?

マジッすか!!


僕の旅に対する意気込みが伝わったのか、

おまわりさんはナイスガイな笑顔で僕を後部座席に誘うのです。


やった!

ヒッチハイク成功だ!!


なんて思いながら勢い良くドアを開ける僕。

するといきなり、


う~!う~!!う~!!!


と、柳沢慎吾ばりのサイレンが鳴るんです。


何っ!?

こんな時に事件か!?


まさに僕がドアを開けた瞬間。

こんなタイミングよく事件だ何て、まるで警察密着24時みたいな高揚感。

こんな貴重な瞬間に立ち会えるなんて僕は何てラッキーなんだ!


しかし、事件だというのに冷静なおまわりさん。

さすがプロは場慣れしてるぜ!

と思うと、一言。


「パトカーのドアは急に開けたらサイレンが鳴るから降りるときは気を付けてゆっくり開けてね。」


あ、はい…。


何と、サイレンを鳴らした犯人は僕…。

無駄に海岸沿いにパトカーのサイレンがこだましました。


そんな感じで好意的にパトカーに乗せてもらい、国道のコンビニで降ろしてもらいました。

ここなら、コンビニに来てるトラックの運転手に直接交渉して乗せてもらうことも可能。

さすが警察の判断力は一味違います。


しかし見渡せど見渡せど、トラックはあるのですが運転手はみんな就寝中。

直接交渉できる人など一人もいません。

しばらく待ってみても新しいトラックも来なければ運転手が起きる様子もないので、諦めて自力でヒッチハイクすることにしました。


そしてヒッチハイクポイントを探すためにひたすら歩く。

せっかくヒッチハイクしてる僕を発見しても、ちゃんと車を止める場所がなければ後続車の邪魔になるから止まれないじゃないですか。


というわけでそんな立地条件を満たす道に当たるまでひたすら歩いたんですが、

なかなかないんです。


もう歩く事、歩く事。


そして、全長1kmのトンネルを2つ連続で越えたところで僕はやっと見つけました。

オアシスという名のヒッチハイクポイントへ。


さぁ、ヒッチハイクの始まりだぜ!!



つづく