親父列伝 | パリジェンヌに憧れてンヌ!

親父列伝

「は~しゃいじゃ~ってよいのかな♪」


松浦亜弥の歌声が部屋にこだましました…。


冒頭の歌で目が覚めるという、久しぶりに強烈な夢を見ました。

夢なんてのは大体が場面が一転したり急に始まったりして、

どうしてそのような状況に陥ったのか分からないことが多々あります。


僕が見た夢もそんな感じでして、気付けば僕は実家にいます。

ちょうどテーブルを一家4人で囲むように各々が配置してます。

親父、おかん、妹、僕の4人です。

すると親父がいきなり、家族全員で酒を飲もうと言い出すわけです。


僕の親父はどちらかと言うと下戸。

晩酌なんてのも今までに見たことが無く、ましてや家族全員で酒を飲もうなんてシュールな状況はありえない。


だから夢の中の僕は非常に驚いてるわけですが、そんなの親父はお構いなし。

気付けば各々の目に酒が配置されてました。

僕の記憶も定かではないのですが、下戸一家だけあって、

確か妹とおかんはカシスソーダ的なカクテル。


そして、ふと親父が気になって目を向けると驚き。


ホットミルク。


酒じゃねぇー!?

ちくしょー、騙されたと思う暇も無く、息もつかせぬ親父の乾杯の音頭。

更に間髪いれず、親父が僕に対してイッキコール。


何だよチクショー、とか思って仕方なく酒を飲もうとしたら

これまた驚き。


オレの酒、しょうゆ!!


酒じゃねぇー!?

ちくしょー、とか思って親父を横目で見るとニヤニヤしてる。

まるで、早く飲めよと言わんばかり。


しょうゆのイッキ飲みは酒より危険。

自分の息子を殺す気か。

そう思ったのですが、親父なりの優しさが配慮されてたみたいで

しょうゆ8割、お湯2割で若干お湯割りになってました。

そんな偽善の優しさいらない…。


とにかく、死と隣り合わせのイッキなんてしたくない。

そう僕がしょうゆを飲むのを拒否すると、親父は、

何だつまんねぇなぁと言わんばかりにビデオを再生し始めました。


このとき僕は、何か面白いビデオでも再生して場の雰囲気を盛り上げるためだとか思ったんですが、そんな風に甘い考えを持ったことを一瞬にして後悔させられる映像がテレビから流れたのです。


何ていうか、非常に言いにくいんですが、

いきなり顔射!


こともあろうに親父はAVを流し始めたのです。

しかも僕はこのとき何か違和感を感じました。


ビデオの映像が凄く昭和的な古い画質を思わさせるのに対し、

AV女優は最近の女の子っぽいんです。

例えるなら夏目ナナ。

というか、夏目ナナ。


この違和感から考えられるのはただ一つ。

テープが擦り切れるくらい親父はこの最新AVを見まくったと言う事です。


しかもよく考えれば、顔射のところからテープが再生されると言う事は、

つまり親父はそこでイったか、そこがお気に入りと言う事です。

全く知りたくありません。


しょうゆ片手に唖然としてる僕を尻目に親父は更に奇行を続けます。

次は松浦亜弥のコンサートビデオを再生。

しかもこれは親父の趣味と言うより、僕が喜ぶと思っての親父の行動。


「は~しゃいじゃ~ってよいのかな♪」


全然はしゃげない。

もう意味が分からない。

本当に勘弁して欲しい。

相変わらずしょうゆを手放せない僕がそう思った瞬間目が覚めました。


こんな親父は嫌だ!


寝起きにそう思ったんですが、よく考えれば本物の僕の親父もさほど変わらないんじゃないかなぁと思いました。


滑舌が悪いのは許せるんです。

『ざじずぜぞ』が言えないんですよ、僕の親父は。

『ざじずぜぞ』が『だでぃでゅでど』になるんです。

例えば、『ぜったい』が『でったい』としか言えない。


それは全然いい。

しかし、リアルな話し、僕が小学校に入るくらいまで

家の居間には『AV女優のヌードカレンダー』が張ってました。

無論親父の趣味。


こんな親父は嫌だ!!


ただ、もちろん僕は毎日カレンダーを拝みに行ってましたよ。

すごい良い思い出です。