プライスレス | パリジェンヌに憧れてンヌ!

プライスレス

最近の僕は非常に守りに入ってる気がします。

そう、まるで牙を抜かれた猛獣。

反骨精神剥き出しだった頃が懐かしい。

そんな服を着るのも許せないくらい多感な時代が僕にだってあったわけです。


というわけで、今回は僕の非道徳的な一面を晒す事で、反骨精神を思い出して行きたいなんて勘違いも甚だしい暴挙に出ようと思いました。

自分でも意味の分からない展開ですが。

時代の流れとでも言いましょうか、こんなご時勢ですから世の中の防犯に対する意識も年々と増すばかりで、無論それは僕の住むアパートも例外ではありません。


今から1年半くらい前でしょうか

当時はごくごく普通の鍵を取り付けられていた僕のアパート。

しかしある日、少しハイテクのものに取り替えられました。


例えば多くの人は鍵を無くしたとき用に合鍵をもう1本くらいは作っておくものです。

が、僕なんかは非常にズボラな性格でして、鍵を作るのがめんどくさいし、また常時部屋の窓は空いているので鍵を無くしても部屋に入れない心配はないしで、鍵1本のみで生活してたわけです。


そんな鍵1本生活を1年半くらい続けた僕ですが、先日ようやく合鍵を作る決心が付いたので東急ハンズに行きました。

一体合鍵を作るのにいくらなんだろうと思って聞くと、

何と3000円!

高い。


しかし思い出はプライスレスなんです。


思い出をお金なんかには変えられないわけですが、前に使ってた鍵は600円くらいで作れたもので、600円ほどの値段にも関わらず、僕に600円以上の思い出を与えてくれたものです。

今回も3000円出したとしても、きっとそれ以上のプライスレスの思い出を僕に運んでくれるはず。


もう何年か前の話しなんですが、当時付き合ってた彼女に僕は部屋の合鍵をあげました。

こういう言い方はオレ様的であまり好ましくないのですが、

オレに会いたいなら勝手に部屋に来い!的な感じ。

当時の僕は忙しかったので、そうでもしないと彼女と会えなかったみたいな事情もあるんですが、僕が深夜遅くに帰宅すると彼女が待ってたとかのサプライズ的なものがあったりと、たった600円ほどの鍵でしたがそれ以上の思い出を僕に与えてくれたものです。


中でも1番思い出深い出来事がありまして、

彼女から深夜3時くらいに1通のメールが僕の元に届きました。


「今から遊びに行こうかな~」


愛を何の恥ずかしげも無く語り合えるような恋人同士でしたら至って普通のメールなんですが、そのメールを受信した僕はかなりのパニックに陥りました。


何故かと言われますと単純明快。

既に僕の隣には愛を何の恥ずかしげも無く語り合えるような人がいたからです。


一言で言えば浮気ってやつで、弁明するなら若さゆえの過ち。


冷静に考えれば、出かけてると返信したらそれまでなんですが、
パニックに陥ってる僕ですから、対処の方法が分からない。

鍵を閉めても合鍵を持ってるし、またかなりの深夜だったので浮気相手と外に遊びに行く理由すらない。


そんな僕に出来ることと言えば、チェーンでロックして鍵を開けられても部屋への侵入を阻止することくらい。

結局、彼女からのメールはブラフでして僕の部屋にやっては来なかったんですが、

あんな生きた心地がしない状況ってのは味わった事がない。


確実に昔の合鍵は600円分以上の思い出を僕に与えてくれました。


そんな経緯もあるものですから、今回3000円もはたいて作った新しい合鍵。

今度はどんな魔可不思議なアドベンチャーを僕に与えてくれるのか。

単純計算で6倍ですよ。

あの生きた心地がしなかった状況の更に6倍の状況なんて想像が出来ません。


そんなわけで、新しい3000円の合鍵。

彼女にあげたわけです。


そして、合鍵をあげた翌日。

鍵をあげた翌日ですよ。

彼女から、


「ごめん、鍵、無くした!」

ファーーーック!!!!


思い出はプライスレス…。